前投稿にて、非歯原性疼痛とは何かについて簡単に解説いたしました。
ここから、この名称の問題点について解説いたします。
端的にいうと、「非歯原性疼痛」という単語は
あまりにも「ざっくり」している。
つまり、大雑把なんです。
なので、実際に病気・疾患の話をする際は、
より具体的な病名を使用する必要があります。
非歯原性疼痛は病名ではなく、あくまでもいくつもの病名(診断名)の
グループ名、つまり総称に過ぎません。
同じ非歯原性疼痛の中にも、痛みの原因が神経、筋肉、頭痛、などなど
様々な病態の疾患が存在します。
原因が異なれば当然、症状や診断の方法、さらには治療方針も全く異なります。
よく、非歯原性疼痛を総称ではなく、具体的な病名のように考える
医療従事者に遭遇しますが、そうすると話が非常にややこしくなります。
例えば、医師Aは神経が原因の「非歯原性疼痛」について話しているのに
医師Bは、筋肉が原因の「非歯原性疼痛」について考えていたら
2人の医師の話が噛み合わないのは当然だと思います。
そもそも、筋肉が原因の非歯原性疼痛と、神経が原因の非歯原性疼痛の
区別すら知らない・できない、という場合もあるかも知れません。

非歯原性疼痛 (non-odontogenic pain) という名称は長年使用され
論文、学会、専門書などでも多く目にする名称です。
まだ、非歯原性疼痛の原因や種類が明らかになっていなかった時代には
「歯以外の部分に原因があっても、歯が痛む場合がある。」
という現象を周知するためには、必要かつ、便利な名称だったと思います。
しかし、その種類や原因が特定され始めている現代では、
総称ではなく、具体的な病名・疾患名を
使用してコミュニケーションをとるべきです。
医療の進化に伴い、我々が使用する言語も進化していきます。
温故知新。
先人の功績を、さらに我々の世代で発展させていかなくてはなりませんね。
非歯原性疼痛に関するご相談は、下記ホームページよりご連絡ください。
あんどう歯科口腔外科:www.ando-pain.jp
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