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ABOUT US
日本で唯一、口腔顔面痛・口腔内科の専門治療に特化したクリニックです。
日本に6人しかいない、米国口腔顔面痛学会が認定した
専門医が治療にあたります。
他院で原因不明とされたその痛みの原因を突き止め、
やわらげるために全力を尽くします。
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不可逆性歯髄炎に対する下顎孔伝達麻酔:NSAIDsなどの経口前投薬は麻酔成功率を高めるか(Inferior Alveolar Nerve Block)
はじめに 「歯髄炎で歯科麻酔が効きにくい」「下の奥歯の神経の治療で麻酔が十分に効かない」といった状況では、炎症性疼痛や疼痛感作が下顎孔伝達麻酔の成功率に影響している可能性があります。 Opening Summary(導入・結論先出し) 不可逆性歯髄炎では、通常の下顎孔伝達麻酔が十分に奏効しないことが少なくない。今回取り上げる研究は、下顎孔伝達麻酔の前に経口鎮痛薬や抗炎症薬を投与することで、麻酔成功率が改善するかを検討したシステマティックレビューおよびネットワークメタアナリシスである。結論として、経口前投薬は麻酔成功率を改善する可能性があり、とくにNSAIDsは最も信頼できるエビデンスに支えられている。一方で、デキサメタゾンは有望であるものの、現時点では研究数が限られており、慎重な解釈が必要である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン ランダム化比較試験を対象としたシステマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス 対象 不可逆性歯髄炎を有し、下顎孔伝達麻酔を受けた患者 介入/評価方
Akihiro Ando
3 日前読了時間: 9分


舌痛症では痛みを抑える機能が低下しているのか―中枢性・末梢性の違いと治療への示唆
はじめに 舌がヒリヒリする、焼けるように痛む、口の中に灼熱感があるにもかかわらず、歯科検査や口腔粘膜の診察で明らかな原因が見つからない場合、舌痛症が鑑別に挙がります。近年では、症状のある部位だけでなく、神経系が痛みを抑える機能の変化が関与する可能性も研究されています。 Opening Summary(導入・結論先出し) 舌痛症(Burning Mouth Syndrome:BMS)は、口腔内に明らかな器質的異常がないにもかかわらず、舌や口腔粘膜に灼熱痛が持続する慢性疼痛疾患である。 今回取り上げる研究では、舌痛症患者の内因性疼痛抑制機能を条件付き痛覚調節によって評価し、局所麻酔への反応が異なる患者群を比較している。 その結果、舌痛症患者の疼痛調節機能は一様ではなく、広範な中枢性疼痛抑制機能の低下を示す患者と、症状部位に比較的限局した異常を示す患者が存在する可能性が示された。 臨床上重要なのは、舌痛症という診断名だけで治療を一律に決めるのではなく、患者ごとに末梢性要因と中枢性要因の関与を評価する必要があるという点である。 Video Se
Akihiro Ando
9月9日読了時間: 12分


アルツハイマー病と過剰糖鎖修飾:グルコサミンと糖鎖代謝は認知症進行に関与するか(Hyperglycosylation)
はじめに アルツハイマー病や認知症では、アミロイドβやタウだけでなく、グルコサミンや糖鎖代謝に関わる「過剰糖鎖修飾」が病態進行に関与する可能性も注目されています。 Opening Summary(導入・結論先出し) アルツハイマー病は、アミロイドβ、タウ、神経変性を中心に理解されてきた疾患である。本研究は、そのさらに上流にある代謝異常として、タンパク質に糖鎖が過剰に付加される「過剰糖鎖修飾」が病態進行に関与する可能性を検討したものである。 ヒト死後脳、アルツハイマー病モデルマウス、安定同位体トレーシング、介入実験、電子カルテ解析を組み合わせた結果、過剰糖鎖修飾は単なる随伴現象ではなく、認知機能低下に関与する病態ドライバーである可能性が示された。 特に注目されるのは、グルコサミン補充がモデルマウスで脳内糖鎖修飾を増加させ、記憶関連行動を悪化させた点である。ただし、ヒトでグルコサミンが認知症進行を直接引き起こすと断定する段階ではなく、現時点では慎重な解釈が必要である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の
Akihiro Ando
9月2日読了時間: 13分


バーニングマウス症候群(Burning Mouth Syndrome)に対する局所アミトリプチリン療法:経口投与が困難な患者の新たな選択肢となるか?
はじめに バーニングマウス症候群(Burning Mouth Syndrome)は、舌や口腔粘膜にヒリヒリした灼熱感が続く慢性口腔痛疾患です。本記事では、近年注目されている局所アミトリプチリン洗口療法について、最新の研究結果と臨床的意義を解説します。 Opening Summary(導入・結論先出し) バーニングマウス症候群(Burning Mouth Syndrome: BMS)は、有効性が確立した治療法が限られる慢性口腔顔面痛疾患である。本研究は、三環系抗うつ薬アミトリプチリンを内服ではなく局所洗口剤として使用した際の有効性と安全性を検討した。約半数の患者で50%以上の疼痛軽減が認められ、副作用は少数かつ軽度であった。エビデンスレベルは高くないものの、内服アミトリプチリンの副作用が問題となる患者において、局所投与が有望な治療選択肢となる可能性を示唆する研究である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 後ろ向き観察研究(Retrospective Real-World Evidenc
Akihiro Ando
8月26日読了時間: 6分


片頭痛(Migraine)治療とプラセボ効果:薬のラベルは痛みの改善度を変えるのか
はじめに 片頭痛治療では、薬の種類だけでなく、服薬タイミングや医師からの説明、患者が治療をどのように理解するかが、痛みの改善感に影響することがあります。 Opening Summary(導入・結論先出し) 本記事では、反復性片頭痛において、薬剤そのものの効果と、患者に提示される薬剤情報が治療結果にどのように影響するかを検討した研究を解説する。 結論として、リザトリプタンは全体としてプラセボより有効であったが、薬剤がどのように説明されるかによって、頭痛軽減の程度も変化していた。 特に注目すべき点は、プラセボであっても「片頭痛薬」と表示されると効果が高まり、実薬であっても「プラセボ」と表示されると効果が低く見える可能性が示されたことである。 これは片頭痛が心理的な病気であるという意味ではない。片頭痛という実在する神経疾患においても、薬理作用と治療文脈が相互に影響することを示した研究である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 反復性片頭痛患者を対象とした、前向きの被験者内反復測定研究
Akihiro Ando
8月19日読了時間: 11分


COVID-19と口腔症状:味覚異常・口腔潰瘍・ヘルペス病変は本当に関連するのか
はじめに COVID-19では、味覚異常、口内炎、口腔潰瘍、口腔乾燥、ヘルペス性口腔病変など、さまざまな口腔症状が報告されてきました。しかし、これらすべてがCOVID-19そのものによって増えるとは限りません。本記事では、大規模リアルワールド研究をもとに、COVID-19と口腔症状の関連を臨床的に整理します。 Opening Summary(導入・結論先出し) COVID-19では味覚異常、口腔潰瘍、口腔乾燥、口内炎、ヘルペス性口腔病変などが報告されてきた。今回の大規模リアルワールド研究では、COVID-19と最も明確に関連した口腔症状は味覚異常であり、ヘルペス性口腔病変は軽度の関連にとどまった。一方、アフタ性潰瘍、口内炎、口腔乾燥、舌痛症などは、COVID-19患者で必ずしも増加していなかった。臨床的には、COVID-19を背景因子として考慮しつつも、すべての口腔粘膜症状を感染そのものに帰属させない診断姿勢が重要である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン TriNetX Resea
Akihiro Ando
8月12日読了時間: 8分


歯髄炎で麻酔が効きにくい理由:ヒト歯髄・三叉神経節におけるNav1.9発現の臨床的意味
はじめに 歯髄炎、とくに強い自発痛や冷刺激後の遷延痛を伴う症候性歯髄炎では、局所麻酔が効きにくいことがあります。本記事では、ヒト歯髄と三叉神経節におけるNav1.9発現の研究をもとに、ホットトゥースの麻酔不奏効を末梢神経の過敏化という視点から整理します。 Opening Summary(導入・結論先出し) 症候性歯髄炎では、局所麻酔の手技が適切でも十分な麻酔効果が得られないことがある。本研究は、電位依存性ナトリウムチャネルであるNav1.9が、疼痛を伴うヒト歯髄と三叉神経節に発現しているかを検討した基礎研究である。結論として、Nav1.9免疫反応性は無症状歯髄よりも症候性歯髄で有意に増加していた。これは、炎症歯髄が単に痛いだけでなく、神経興奮性が変化した状態である可能性を示す重要な知見である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン ヒト歯髄およびヒト三叉神経節を対象とした免疫細胞化学的研究である。 対象 ヒト歯髄33歯が対象であり、無症状歯16歯、疼痛を伴う症候性歯17歯が含まれた。さら
Akihiro Ando
8月5日読了時間: 9分


糖尿病はビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)のリスク因子か:抜歯前に考えるべき臨床的意味
はじめに 糖尿病があり、ビスホスホネート製剤を使用している患者では、抜歯や口腔外科処置の前に、BRONJ(ビスホスホネート関連顎骨壊死)のリスクを感染、投与経路、全身状態とあわせて評価することが重要です。 Opening Summary(導入・結論先出し) 本記事では、糖尿病がビスホスホネート関連顎骨壊死のリスク因子となるかを検討したシステマティックレビューおよびメタ解析を取り上げる。 結論として、糖尿病を有するビスホスホネート使用患者では、顎骨壊死の有病率が高い可能性が示された。 ただし、これは因果関係を証明するものではなく、エビデンスの確実性は非常に低い。 臨床的には、糖尿病を「単独の禁忌因子」として扱うのではなく、抜歯、感染、静注ビスホスホネート、治療期間、全身状態と組み合わせてリスク評価することが重要である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン システマティックレビューおよびメタ分析。観察研究を対象とし、プロトコールは事前登録され、検索と報告はシステマティックレビューの標
Akihiro Ando
7月29日読了時間: 8分


下顎智歯抜歯におけるCoronectomyは下歯槽神経損傷を減らせるのか? ― 長期予後と適応を含めた最新レビュー
はじめに 下顎智歯(親知らず)の抜歯では、歯根が下歯槽神経に近接している場合、術後のしびれや感覚異常が問題となることがある。特にCBCTで高リスク所見を認める症例では、神経温存を目的とした coronectomy(歯冠切除術)が選択肢となる。 Opening Summary(導入・結論先出し) 下顎智歯抜歯において、歯根が下歯槽神経管と近接している症例では、術後の知覚障害が最も重要な合併症の一つとなる。特に永続的な下口唇・オトガイ部のしびれは、患者のQOLに大きな影響を及ぼす可能性がある。 今回のレビューでは、歯冠のみを除去し歯根を意図的に残存させる「coronectomy(歯冠切除術)」について、神経保護効果、長期予後、再手術率、臨床的課題が包括的に検討された。その結果、適切に選択された高リスク症例では、歯冠切除術は下歯槽神経損傷リスクを大幅に低減する有効な選択肢である可能性が示された。 一方で、歯根移動や二次手術の必要性など、従来抜歯とは異なる長期管理上の特徴も存在するため、CBCTによる適応判断と標準化された術式が極めて重要である。
Akihiro Ando
7月22日読了時間: 6分


翼口蓋神経節ブロックは口腔顔面痛・頭痛に有効か:三叉神経痛、片頭痛、神経障害性疼痛への臨床的示唆(Sphenopalatine Ganglion Block)
はじめに 翼口蓋神経節ブロックは、歯科治療では説明しにくい顔面痛、三叉神経痛、神経障害性疼痛、片頭痛関連の頭痛などで検討されることがある処置です。ただし、すべての口腔顔面痛に有効な治療ではなく、診断を明確にしたうえで補助的に位置づけることが重要です。 Opening Summary(導入・結論先出し) 翼口蓋神経節ブロックは、三叉神経痛、三叉神経障害性疼痛、片頭痛、群発頭痛など、口腔顔面痛と頭痛の一部に対して検討されてきた処置である。 今回のレビューでは、症例報告・症例集積をもとに、翼口蓋神経節ブロックの適応、手技、効果、安全性が整理されている。 結論として、短期的な疼痛軽減が期待できる症例はあるが、現時点では高いエビデンスに基づく標準治療と断定する段階ではない。 臨床的には、通常治療で改善しにくい非歯原性口腔顔面痛や神経障害性疼痛において、診断を明確にしたうえで補助的に検討すべき治療選択肢である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 口腔顔面痛および頭痛疾患に対する翼口蓋神経節
Akihiro Ando
7月15日読了時間: 9分


慢性疼痛に対する抗うつ薬治療:デュロキセチンは第一選択となり得るか(Chronic Pain)
はじめに 慢性疼痛に対する抗うつ薬は、うつ症状の治療だけでなく、神経障害性疼痛や口腔顔面痛に関わる疼痛調節系への作用を期待して使用されることがあります。本記事では、2023年のCochraneレビューをもとに、デュロキセチンを中心としたエビデンスと臨床上の注意点を整理します。 Opening Summary(導入・結論先出し) 慢性疼痛に対する抗うつ薬は、うつ症状の治療だけでなく、下行性疼痛抑制系への作用を期待して処方されることがある。 2023年のコクラン・ネットワークメタ解析では、慢性疼痛に用いられる複数の抗うつ薬の有効性と安全性が比較された。 結論として、最も確実性の高いエビデンスが示された薬剤はデュロキセチンであり、標準用量で小〜中等度の鎮痛効果が認められた。一方で、アミトリプチリンを含む多くの抗うつ薬については、慢性疼痛に対する有効性を強く支持する根拠は限定的である。 口腔顔面痛、非歯原性疼痛、神経障害性疼痛を診療するうえで、「抗うつ薬を一括りにしない」ことが臨床的に重要である。 Video Section 詳しい解説は以下の
Akihiro Ando
7月8日読了時間: 10分


不可逆性歯髄炎(Irreversible Pulpitis)に対する下顎孔伝達麻酔:イブプロフェン術前投与は麻酔成功率を高めるか
はじめに 「歯の麻酔が効かない」「根管治療中に痛みが出る」と感じられる状況の一部には、不可逆性歯髄炎による炎症性疼痛と歯髄麻酔の難しさが関係していることがあります。 Opening Summary(導入・結論先出し) 不可逆性歯髄炎では、下顎孔伝達麻酔を行っても十分な歯髄麻酔が得られないことがある。 本稿では、成人の下顎臼歯部不可逆性歯髄炎に対し、局所麻酔前の経口鎮痛薬投与が麻酔効果を改善するかを検討したシステマティックレビューを取り上げる。 結論として、非ステロイド性抗炎症薬、特にイブプロフェン600mgを麻酔1時間前に投与する方法には、中等度のエビデンスがある。 ただし、これは「無痛処置を保証する方法」ではなく、炎症性疼痛により低下した麻酔成功率を補助的に高める選択肢である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン システマティックレビューおよびメタ分析である。対象はランダム化比較試験に限定されている。 対象 下顎小臼歯または大臼歯に不可逆性歯髄炎を有する18歳以上の成人である
Akihiro Ando
7月1日読了時間: 8分


末梢神経損傷にサプリメントは有効か:神経再生と神経障害性疼痛への臨床的意義(Peripheral Nerve Injury)
末梢神経損傷後のしびれ・異常感覚・神経障害性疼痛に対し、サプリメントは神経再生を助ける可能性があるのか。レビュー論文をもとに、動物実験での有望性と人での臨床的限界を整理します。
Akihiro Ando
6月26日読了時間: 9分


慢性頭頸部痛に対する笑い療法(Laughter Therapy):口腔顔面痛の補助療法として臨床応用できるか
はじめに 慢性頭頸部痛や口腔顔面痛では、顎関節症、頭痛、首や肩の痛み、ストレス反応などが重なり、標準治療に加えて、日常生活で継続できるセルフケアも重要になることがあります。 Opening Summary(導入・結論先出し) 慢性頭頸部痛は、口腔顔面痛、顎関節症、頭痛、頸肩部痛と重なりやすく、診断と治療が複雑になりやすい病態である。 今回取り上げる研究は、慢性頭頸部痛を有する成人に対して、iPadアプリを用いた「笑い療法」が疼痛スコアに与える影響を検討した単施設パイロット研究である。 結果として、4週間の介入期間中に複数の疼痛評価尺度で痛みの低下が認められた。 ただし、対照群のない単群研究であるため、「笑いそのものが痛みを改善した」と断定することはできない。 臨床的には、笑い療法は標準治療の代替ではなく、慢性口腔顔面痛患者のセルフマネジメントを支える低リスクな補助的介入として位置づけるべきである。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 単施設、4週間のパイロットコホート研究である
Akihiro Ando
6月24日読了時間: 8分


COVID-19後の慢性疼痛は末梢神経で起こるのか:SARS-CoV-2 Nタンパク質とNav1.7の臨床的意味
はじめに COVID-19後に口や顔の痛み、神経痛、灼熱感、原因不明の持続痛が続く場合、その背景には末梢神経の過敏化や神経障害性疼痛が関与している可能性があります。本記事では、SARS-CoV-2 Nタンパク質とNav1.7に関する基礎研究をもとに、COVID-19後の慢性疼痛を臨床的にどう理解するかを考えます。 Opening Summary(導入・結論先出し) COVID-19後に、頭痛、筋痛、神経痛、口腔顔面痛などの痛みが長期化する患者がいる。本研究は、SARS-CoV-2のNタンパク質が末梢感覚神経のNav1.7チャネルに作用し、病的疼痛を増悪・遷延させる可能性を検討した基礎研究である。結論として、Nタンパク質はNav1.7の発現量を増やすのではなく、チャネルの不活性化を遅らせることで神経興奮性を高める可能性が示された。これは、COVID-19後の持続痛や神経障害性疼痛を考えるうえで、末梢侵害受容器レベルの機序を示唆する重要な知見である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン S
Akihiro Ando
6月22日読了時間: 8分


糖尿病性末梢神経障害性疼痛(Diabetic Peripheral Neuropathic Pain)に対する併用療法:単剤で不十分な場合に何を追加すべきか
はじめに 糖尿病性神経障害性疼痛では、アミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリンなどの薬剤を用いても、単剤だけでは十分な痛みの改善が得られないことがあります。本記事では、OPTION-DM試験をもとに、神経障害性疼痛に対する併用療法と段階的治療の考え方を解説します。 Opening Summary(導入・結論先出し) 本記事では、糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対するアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリンを用いた治療経路を比較したOPTION-DM試験を取り上げる。 結論として、3つの治療経路はいずれも同程度の疼痛軽減を示し、明確に優れた薬剤順序は認められなかった。 一方で、単剤治療で疼痛軽減が不十分な患者では、作用機序の異なる薬剤を追加することで、さらなる疼痛改善が得られる可能性が示された。 この知見は、糖尿病性神経障害性疼痛だけでなく、慢性神経障害性疼痛を扱う口腔顔面痛診療にも重要な臨床的示唆を与える。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 多施設共同、二重盲検、ラン
Akihiro Ando
6月17日読了時間: 9分


インプラント治療後の神経障害性疼痛:三叉神経ニューロパチー(Trigeminal Neuropathy)はどの程度起こるのか
はじめに インプラント治療後に下唇やあごのしびれ、感覚の鈍さ、触れるだけで痛むような症状が続く場合、通常の術後痛だけでなく、下歯槽神経損傷や三叉神経領域の神経障害性疼痛を考慮する必要があります。 Opening Summary(導入・結論先出し) インプラント埋入後の神経損傷は、発生頻度は高くないものの、発症した場合には患者の生活の質に大きな影響を与える合併症である。 今回取り上げる研究は、大学病院の口腔外科部門におけるインプラント治療後の神経障害性疼痛および感覚異常の有病率を検討した後ろ向きコホート研究である。 結論として、疼痛を伴う外傷後三叉神経ニューロパチーは約0.3%と稀であったが、疼痛を伴わない感覚異常を含めると三叉神経障害は約0.8%に認められた。 臨床的には、頻度が低いことを強調するだけでなく、下歯槽神経損傷の予防、早期発見、早期対応が重要である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 後ろ向きコホート研究である。 対象 2004年2月から2014年9月までに、バ
Akihiro Ando
6月13日読了時間: 9分


糖尿病性末梢神経障害性疼痛(Diabetic Peripheral Neuropathic Pain):デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンをどう選ぶか
はじめに 糖尿病に伴う足のしびれや焼けるような痛みは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛として薬物療法の対象になることがありますが、薬の選択では鎮痛効果だけでなく副作用と継続しやすさが重要です。 Opening Summary(導入・結論先出し) 糖尿病性末梢神経障害性疼痛では、薬剤選択において「どの薬が最も効くか」だけでなく、副作用、継続性、併存疾患を含めた総合判断が重要である。 本稿では、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンをプラセボ対照試験に基づいて間接比較したメタアナリシスを取り上げる。 結論として、3剤はいずれもプラセボより有効であり、デュロキセチンはプレガバリンおよびガバペンチンと概ね同等の鎮痛効果を示した。 ただし、薬剤ごとに副作用プロファイルが異なるため、神経障害性疼痛の治療では患者ごとの個別化が不可欠である。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン 糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対する薬物療法を対象としたメタアナリシスである。直接比較試験が限られるため、プラセボを共通対
Akihiro Ando
6月10日読了時間: 9分


人工関節患者に抗菌薬予防投与は必要か?―最新ガイドラインが示す歯科治療と人工関節感染(Prosthetic Joint Infection)の新しい考え方
はじめに 人工股関節や人工膝関節を有する患者では、歯科治療前に抗菌薬予防投与が必要かどうかが長年議論されてきた。近年のガイドラインでは、人工関節感染(Prosthetic Joint Infection:PJI)と歯科治療との関連について新たな見解が示されている。 Opening Summary(導入・結論先出し) 人工股関節や人工膝関節を有する患者に対して、歯科治療前の抗菌薬予防投与は長年にわたり広く行われてきた。しかし近年の研究では、侵襲的歯科処置と人工関節感染(Prosthetic Joint Infection:PJI)との関連を支持するエビデンスは認められていない。 2024年に公表された整形外科および歯科領域の最新ガイドラインでは、人工関節を有することのみを理由としたルーチンの抗菌薬予防投与は推奨されていない。本稿では、その根拠となる最新ガイドラインと解説論文をもとに、臨床現場でどのように解釈すべきかを考察する。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン Commentary(解
Akihiro Ando
6月7日読了時間: 6分


神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)と下行性疼痛抑制:オザニモドは脳幹疼痛制御を回復するか
はじめに 神経障害性疼痛は、しびれを伴う痛み、焼けるような痛み、触れるだけで痛いアロディニアとして現れることがあり、その背景には末梢神経の損傷だけでなく、脳幹から脊髄へ向かう下行性疼痛抑制の低下が関与する可能性があります。 Opening Summary(導入・結論先出し) 神経障害性疼痛は、末梢神経や脊髄だけでなく、脳幹を介した下行性疼痛調節の破綻としても理解する必要がある。 本稿では、スフィンゴシン1リン酸受容体1を標的とするオザニモドが、神経障害性疼痛モデルにおいて痛覚過敏を改善し、吻側延髄腹内側部の下行性疼痛抑制系を回復する可能性を示した研究を取り上げる。 結論として、オザニモドは動物モデルで機械的アロディニアおよび冷アロディニアを改善し、その作用にはセロトニン作動性・ノルアドレナリン作動性の下行性抑制経路が関与する可能性がある。 ただし、本研究は前臨床研究であり、神経障害性疼痛患者への有効性が確立されたわけではない。 Video Section 詳しい解説は以下の動画をご覧ください。 研究の概要 研究デザイン...
Akihiro Ando
6月3日読了時間: 9分
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